ぐるりナホトカ4日目:大谷康子スペシャルコンサート
2016.05.12
こんにちは、かもめ課長です。
屋久島は来るといつも、その高くそびえる山々に必ずと言っていいほど雲がかかっていることばかりでした。ですが今回ばかりは冴え渡る空が広がったかもめにとっては珍しい屋久島の風景でした。快晴の日は、夕陽も格別。船内に差し込む光がとてもロマンティックな雰囲気を醸し出しています。
今夜のメインショーはヴァイオリニスト大谷康子さんとピアニスト佐藤卓史さんが紡ぐ至極のコンサート。それに先駆けて、夕暮れ時に屋久島の銘酒三岳をミッドシップで一杯いただいていくことにしました。
満を持してドルフィンホールへ。歌うヴァイオリンと称される日本を代表する演奏家、大谷康子さんとシューベルト国際コンクールの覇者、佐藤卓史さんのスペシャルコンサートが開演です。
昨年でデビュー40周年を迎えた大谷康子さん、その円熟した珠玉のテクニック。またなによりその笑顔と温かい人柄の伝わるトークにも一気に会場が引き込まれてしまいます。
ピアノソロではシューベルトよりセレナーデが演奏されました。チャイコやドヴォルザークと並び、世界三大メロディメーカーとも言われるシューベルト、その美しい旋律が佐藤さんの作る繊細な音色が穏やかな波のように会場に流れてきます。
再び会場に戻るなり弓を高らかにあげる大谷康子さん。聞こえてくるのは、ヴァイオリンの魅力が最も伝わると言っても過言ではないツィゴイネルワイゼン。続いてピアソラのリベルタンゴ。皆様もどこかで聞いている音楽に自然と手拍子をしながら一体感が増していくドルフィンホールです。
ラストのチャールダッシュが始まると大谷さんがヴァイオリンを弾きながら全ての通路を歩き始めました。もちろん演奏をしながら、リズミカルにそれぞれのお客様とアイコンタクト。ぐるっと一番奥の列まで回ってくれる演奏家は前代未聞です!
目の前で弾いてくれるこの感動的な距離感、実は間近な笑顔も嬉しいのですが、何よりヴァイオリンの音色が直接に耳に聞こえてくることは感動そのものでした。ふくよかで奥行きのある音、奏でられる魅惑の調べ、これほど心を奪われるコンサートは船の上のプライベートな空間だからかもしれません。コンサートが終わってもまだ尚、耳の奧で愛と情熱の楽曲たちが心地よい時間をもたらしてくれます。